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エレファントピア

エレファントピア

ミャンマーと奢り

奢り奢られ文化


昨日会った友人は中国語がペラペラなのだか、今、英会話学校に通っている。
そこでいろいろな国の学生たちと出会って遊んでいるようだ。


とある国の女子高生は、いつも年上の学生たちと遊びたがるという。他に同じ国から来た同じ歳くらいの子がいるのに、なぜか年上とばかり遊んでいる。
彼女は話上手で甘え上手。一緒に遊んでいるととても楽しい。
ところが気付いた事がある。彼女は皆と遊んでいても、決してお金を払わないらしい。ジュースを買うときも、食事をする時も、セントーサに遊びに行く時も、いつもニコニコ誰かの傍らにいて、皆を笑わせ、なごませて、気持ちよくおごってもらっているらしい。


…スゴイ!
それは一体どんな技だ!国技か!?


と、感動してしまった私達だが、それを聞いて思い出したことがある。

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ミャンマーでは、普通支払いに割勘はありえない。
皆で食事に行っても、誰かが一括して持つことになる。
もちろん部下と上司で行けば、自然と上司が、
友人同士で行けば、不公平にならないように、ここは私が、明日は僕が…というように、支払い合うことになる。

始めの頃は良く馴れず、お腹いっぱい食べて、いつの間にか支払われてしまっていたり、どうしたんだろう?もう飲みおわったのに皆動かないな~と思っていたら、どうも私が支払うことになってたらしかったり、いろいろ失敗をした。


しかしなんと言っても困るのは、いつも奢られてしまうことだった。お返しがしたいと思って誘うと、なぜか安いところに連れて行かれてしまう。

仕事の時は、日本人という立場もあって、特定の人に奢ったりするのは良くなかろうと、奢るときは事務所の皆を誘って小パーティを開いたりした。

すると、そのお返しに…と仲のいいグループ毎に私を誘ってくれる。
女性のグループとお茶をしたり、
マネジグループとランチをしたり。

しかし仲のいいグループの皆と散々飲んだ後などは、いくらなんでも少し払わせてくれと頼みこんだ。時には「払うぞ!」「払わせないぞ!」とバトル的に…


特に地元の若者グループと飲んだ後などは、本当に気がとがめていたものだ。(地元出身でさらに若いと給料もそれほど..ということを知っていたので)
するとあるスタッフがこんなことを言った。

「ここは僕達の国で、君は外国からのお客さんなんだ。
ミャンマー人としてもてなすのは当たり前なんだから、払わせてもらいたい。」


……。


それを聞いて、私はかえって恥ずかしくなった。
彼らのことを、どこかお金で測っていた自分がいたのかもしれないと思った。


「もし自分達が日本やシンガポールで会っても、僕達はそこではもてなすことが出来ない。自分達の国でくらい、もてなしたい。」

そんなことも言った。


別の時、中東に出稼ぎに行こうか考えているスタッフがいた。
シンガポールにもミャンマー人はたくさんいるよ。シンガの方が近いし安全じゃない?と勧めると、彼はシンガポールは嫌だという。
「シンガポールに出稼ぎで行ったら、もう友だちじゃなくなっちゃうかもしれない」


……が、がが~~~ん(TT)


そんなことないよ!
と言いたいけれど、でも実際そういうことってあるのだ。
(私は、それに関して、すごく悲し経験をしたことがあるが、それはまた別の話。)

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そんな話をすると、友人もまた日本語を教えていたときに、
苦学生に奢られて困った話をしてくれた。

盲腸が破裂しそうで命に関わるのに、
「お金がないんだ!返してくれ!もう治った!!」と、病院から逃げようとしたことのある中国人。

そんな彼らに奢られて、先生だった彼女は、とんでもない!と払おうとした。
押し問答になって、仕舞いには「恥をかかせる気か!」と相手が怒り出したという。



それはまた、とても誇り高い中国人らしいエピソードだ。
それぞれの国に、まあいろんな人がいるだろうが、いろんな流儀があるものだ。


奢るというのは、悪い事ではないんだな。
誰だって時には気持ちよく、人に喜んでもらいたい。
ありがたく受け取って感謝することは、お金で割り切るより大事なこともあるのだと教えてもらった。



(2004年11月13日)


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